「おまえ今日、部活なかったくせになんでこんな遅くまで学校いたんだよ」
「え、なんで部活なかったこと知ってんの?」
「さっき布瀬見ただろ、あいつもバスケ部だろうが」
「あー、そういうこと。いやー、提出し忘れてた課題やってたら寝ちゃっててさ。気づいたら真っ暗だったんだよね」
「あほだな」
「うるせーよ。そういう夜市こそ、ゆいちゃんに振られてたくせに」
「振られてねーわ!」
街灯でたむろする虫の一群が張り合っている俺と直江の気配を感じとって散らばっていく。
はぁ、とため息が漏れた。
梅野と布瀬は今頃、仲良く帰ってるんだろう。俺にはわからない話でもしながら。
目蓋の裏で容易に浮かぶその光景に、持ち上がってきた本音がひとつ。
「嫌なんだよな」
「は?」
「梅野と布瀬が仲良いの」
突然溢れてきた言葉に、直江はこれでもかというほど眉をしかめた。