梅野の指示通り、炎症を起こした腹を冷やすこと15分。

そろそろ皮膚が冷たさに耐えられなくなり、のったりと身体を起こす。



梅野がトイレに行き、することもなくなってぼんやりしていると、ふとベッドの上にあるぬいぐるみに視線が留まった。

学校帰りに取ってやったゴールドのうさぎがこっちを向いている。




「おまえ、梅野と俺より仲良くなるなよ?」


ぬいぐるみ相手にしっかり釘を刺して立ち上がる。



ベッドの横には本棚があった。

さすが本好きな梅野だ。びっしり詰めてある。



端から順にだらーと流し見するつもりだったのに、思わぬタイトルの連続にぱちりと目が開いた。

ちょうど梅野がトイレから出てくる。




「……ブタとぶー子の熱き友情」

「あ、いい本に目つけたね。泣けるんだよ、これ(…誰が興味あんだ)」




んふふ、と笑う梅野。

さすが『サルの共食い』を読んでいただけある。ここには奇天烈な本しかないらしい。