「熱持ってるし……とりあえず、冷やす?よね、氷枕持ってくる!」



勢いよく動いた梅野がようやく俺から離れた。



……いきなり男の腹に触れんな!

と、思いはしたが、本気で看病人として駆け回る梅野を相手に俺だけ動揺するなんてバカバカしくなり、ふう、とひと息吐く。


だいたい、こういうスキンシップには慣れてんのに、こんな反応になること自体おかしいんだ。

なんで俺が恋愛初心者みたいになってんだよ。




崩れた表情筋をすぐに戻すと、冷凍庫から取り出した氷枕をタオルで包み、はい、と梅野に渡された。




「ちょっと寝そべって、これ当ててて」

「ん」



程よい冷んやり感に肌が驚いたのは最初だけで、次第にゆっくり馴染むように落ち着いていく。

梅野の言うとおり、確かに熱を持っていた腹が少しずつ冷やされ、痛みがマシになっていった。