誘導されたのは、アパートの2階にある1Kの部屋。室内は意外とカラフルだった。

ふたりはギリ座れなさそうな小さなソファーに腰掛けて、タオルを濡らしている梅野を待つ。すぐにバタバタと駆け寄ってきた。



「滲みるけど我慢してね」


軽くあてがわられる布。ズキズキと根を上げる痛みに顔を歪めると、梅野も同じように痛そうな表情をしていて、ふっと笑ってしまう。




「あ、動いた、もう」

「おまえが変顔してるからだろ」

「だって痛そうなんだもん」



乾いていた血を拭き取った梅野が唇の端に大きめの絆創膏を慎重に貼っていく。



「ちょっと動かしにくいかも」

「大丈夫だ」

「そう? なら良かった。……他にも怪我してるでしょ?」

「…いや」

「嘘だ、歩きづらそうだったし」



………そういうところだけ鋭いの、なんなんだよ。

おとなしく服を捲ると、ぎょっと目を見開かれる。



「なんか赤いし、こっちは内出血みたいになってるよっ……」

「いちいち説明すんな………っ、おい、」



ぴた、と急に触れてきた手のひら。

それはなんともないようにするりと腹の上を滑り、あつ、と言いながら梅野が首をひねる。