「っ、な…に、この傷、」



息を呑み、驚いたまま、梅野の視線が俺の身体を見渡す。


……一番見られたくなかったのに。

ため息を吐きたい心情を映し出すかのように空が翳り出した。




「よ、夜市くん、血が出てるよ、早く手当てしなきゃ…」


「ほっといてくれ」



やんわりと背中に添えられた手を拒絶する。



こんな情けない姿を晒したかったわけじゃない。

こんな傷だらけの顔で会いたかったわけじゃない。



大丈夫だから、と終わらせて帰ろうとすれば、意思の利かない体幹がよろめいて思わず壁に手をついた。

保っていたかった体裁はもう粉々で、ただただこの場から離れたいだけなのに、「夜市くんっ」と追いかけてくる梅野が逃してくれない。




「やっぱりだめだよ、私、腕支えるから…………歩ける?」

「ひとりでいい」

「だめっ」

「自業自得なんだよ……っ」




血の滲んだ口から、気づけば叫んでいた。

全部自分で蒔いた種で、それが歪んでこうなった。