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普段通りに起床して。
普段通りに家を出て。
普段通りに学校に着いた、はいいものの……
「……、」
昇降口で上履きをはいた足が、そこから先へ進もうとしない。
いついかなる時もブレることなく堂々としていた俺の足を止める原因は、ただひとつ。
………梅野だ。
今まで頭のなかを彷徨っていた梅野も悩ましかったが、想いを自覚したことで普通に居座るようになってしまった脳内の梅野はもっと悩ましい。
会ったらどうする?
廊下で、学食で、いやそもそも教室で。
会ったら………どうすればいいんだ。
そろそろ立ち止まっている俺を不思議そうな視線が囲みだす。
どうしようもなくなって教室までの道のりをゆっくり進んだ。
カメのように歩こうが、いつかは到着してしまうわけで。
案の定、すぐに見えてきた教室。
その前には梅野と数人の女。
「…あいつら、また」
慎重に近づく。
梅野の顔は向こうをむいていた。