「ありがとう」


そう言って踵から視線をあげた梅野と目が合う。



「……なんだ急に」


「さっき、夜市くんが引っ張ってくれて助かった。おかげでいい気分転換になったし。これも取ってくれて、ありがとう」





───大事にするね、と。

ゴールドのうさぎの横で少し照れたように梅野が微笑む。



瞬間、小さな落雷を立て続けに食らったような、馴染みのない感覚が身体をゆすった。

それは、胸のあたりに突如として現れ、そのままじんわりと熱を帯びていく。



「………」



───あぁ、やっぱり。


認めていなかった感情がゆらりと顔を出した。


おそらく俺は、世間一般でいう『恋』とかいうものに、落ちている。