「なんか…」

「かわいいっ」


………マジか、梅野。

どう見ても気色悪いと言うはずだった口をつぐむ。



「欲しいのか?」

「うん、でも財布が教室にあって、」

「貸してやる」

「いいの?」

「あとで返せよ」

「うん!」



ちょうどポケットに入れていた財布から小銭を出して投入口に入れる。

腕を捲りだした梅野がUFOキャッチャーに向き直った。



「…あっ」

「……梅野、やり方知ってんのか?」

「知ってるよ、テレビとかで見たことあるんだから」



そうじゃねえだろ。

3回目が失敗に終わった頃、日が暮れるんじゃねーかと思ってしまう。

凡ミスならまだしも手の動きがふらふらと怪しくて、いっこうにうさぎ付近に到達しない。



………だめだな、これは。



「…なんで思った方向に行かないんだろう。あれ、どうしよう、小銭がもうちょっとでなくなる」