ファミレスに入ったのも俺。
帰り際に追いかけたのも俺。
今も、図書室に後から入ったのは俺。
なんだよ、これじゃあ、俺が梅野を追っかけてるみたいじゃねーか。
追われることはあっても、追ったことなんてない俺が。
…冗談じゃない。
謎のムカつきが芽生え、こっちはこっちで好きにしてやると、そのまま寝転ぶ。
2、3分が経っても俺が夢の世界に入れないのは梅野のせいだ。
さっきから、ゆっくり歩く足音が聞こえて寝るに寝れない。
しばらくして、目を閉じていた俺の肩が遠慮がちに突かれた。
「あのさ」
「……」
「気持ちよく寝転がってるところ悪いんだけど、夜市くんの後ろの棚の本、取りたいんだ」
言われて目を開ける。
眉尻を少し下げた梅野が見ているのは、俺の後ろの小さな本棚。