クラスの大半がこの状況を息を殺して見物しているのがわかる。

はやくここから梅野を連れ出さねーと。

そう思い、花音の肩を押して周りにいるやつらをかき分けた。


どよめきが伝染するなかで後ろから手を引かれる。

花音だった。



「しつこいぞ」

「変だよ氷牙、今まで花音たちが誰になにしようと口出ししたことなかったのに」



あーそうだよ、どうせ俺はクズだ。



「ムカついた」



ただ、それだけ。

それ以外に理由があってたまるか。


そう思うのに。

伸ばした先で梅野に触れるこの手は、もう少し前から答えを知っているような気がした。