「ごめんな、あいつら気立っちゃってさ」

「べつに、んなの気にしてねー」

「は、嘘つけ。俺が来てくれて嬉しーくせに」

「張り倒すぞ。
ただ、もう、あーいう場所に呼ぶな。女に困ってねーし、合わねえんだよ、俺には。呼び出すなら、俺とおまえの時だけにしろ」

「え、………夜市さん?」

「なんだよ」



急にかしこまった呼び方をする直江が、目を丸くして口を開ける。



「それはこっちのセリフ。今さらっと嬉しいこと言ってくれちゃってさ」

「なんのことだ」

「うん、本気でわかってなさそうだね。いーよ、俺の耳に封印しとくから。あれだね、氷牙は無自覚で人を喜ばせるタイプだったんだね。いやー、長い間過ごしてきて新発見だよ」



ぶつぶつうるさい直江を放って歩けば、待てよーと、跳ねる足が後を追った。





結局ポテト2本しか口にしてないエネルギー不足の足でファミレスに入る。

その瞬間にも、そういえば、ここじゃないが、梅野はファミレスでバイトしてたな、と。そんなことが浮かんできて眉をひそめた。