浬ほど表情には出ていないが、腕組みする手に力が籠っている。



「ちょっと俺問い詰めに行くわ」

「いや正面からいったって返り討ちにされるのがオチだって。それより食事に下剤混ぜてトイレに引きこもったところを問い詰めた方がいいって」

「させませんからね?」



それでも医者志望ですか。

本当に実行しかねない2人を宥めるためにお菓子だけではなく飲み物も出すと、少しは正気を取り戻した。

ふぅーっと息をついた裕次郎さんが頬杖をつきながら私の顔を覗き込む。



「まぁ当の本人が嫌がってないならそれでいいけどさぁ〜。ねぇ?」

「そーな」


嫌がってない・・・?私が?


言われてみれば豹牙さんの真意を探ろうとするばかりで、その着眼点はなかった。

でも気にも止めていない時点で、答えは決まっていた。



「・・・・・・なんで、嫌じゃないんでしょうか」



自分のものとは思えないぐらい女々しい声が出た。