どうやら人は美しすぎるものを見ると恐怖心を抱くらしい。

これは豹牙さんを通して学んだことだ。


長い脚を組み頬杖をついたまま、視線だけが私を捉えた。


「冴妃、報告」

「はい」


豹牙さんに名指しされた私は手もとの資料に目を落としながら淡々と事実を並べていく。

【堕天】の動向はもちろんのこと、ストライキしていた生徒の名前もきっちりと報告した。

本人たちは青ざめていたが気にしない。後でしっかりと絞られるといい。


「────以上です」

「そうか」


私が報告を終え、豹牙さんが満足そうに頷いたところで浬が話に入ってきた。



「で、豹牙。扉んとこでモジモジしてる子は何?誰?」



浬に言われた方を見ると、三つ編みと黒縁メガネが特徴の一人の女子生徒がポツンと立っていた。