豹牙さんのバイクの後ろに乗り、開けた道路を悠々と走る。
帰宅ラッシュの時間帯を少しすぎたからか、車通りはあまり多くない。
建物の間から見え隠れする太陽は、線香花火のような儚さを纏いつつ、赤く強く燃えている。
そのくせ目が合うと視界に緑が混ざるので厄介だ。
そんな風に目をチカチカさせながら目の前の大きな背中を見やった。
豹牙さんは私が"あの人"に行くときは必ず付き添ってくれる。
今までは豹牙さん専属の運転手の車に乗せてもらっていたが、これからはバイクに乗せてくれるらしい。
そのくせ毎度毎度「遅かったな」と不満そうに言われるが。
何はともあれ、また乗せていただけて嬉しい。
夏が到来して暑いはずなのに「極力離れろ」と文句言われませんし。
それどころか「しっかり掴まってろ」と念押しされましたし。