それ以来、総長である豹牙さん又は幹部の誰かが毎月30日に【黎明】の後ろ盾に報告に行くようになっている。

そして今月は私が指名されたのだ。



指定された時間と場所に向かうと、そこに彼はいた。

会議室のような部屋の奥で足を組んで座っている。



「お久しぶりですね、猫」

「えぇ。お久しぶりです」



物腰柔らかな話し方だというのに、心の臓が震えあがるほどの鋭利さを隠している声。そのせいで妙に威圧感があるのだ。

たったそれだけで住む世界の違いを体感させられる。


だからってそれを表情に出すわけにはいかない。


もし悟られてしまえば対等である同盟関係から捕食者と被食者の関係に転落してしまうのだから。


ちなみに『猫』とは私のことだ。
多分猫目だからそう名付けられた。