風に煽られた街路樹が、ザァァとざわめく。
「今月はお前の番だ」
「分かりました」
予想通りの言葉が発せられ、身体が緊張で強ばった。
【黎明】が暴走族であると最も実感するのは、
"あの人"に会いに行くとき。
【黎明】も【堕天】も暴走族と名乗るからにはケツ持ち──要は後ろ盾がいる。
その存在が【堕天】が結成からわずか2年で学園を完全に掌握するに至った理由の一つだ。
奴らの後ろ盾は当時この地域全般を裏で治めていた。
まぁ去年【堕天】とともに葬り去られましたが。
ただ、【堕天】はその後ろ盾の傘下として動いていたが、私たち【黎明】は同盟として今現在も関係を続けている。
きっかけは3年前にこちらから話を持ちかけたことだ。
私たちが【堕天】を下したいように貴方たちもその後ろ盾を下したいのだろう、利害は一致しているのだから同盟を組もう、と。