私の行動の意図を読みとった豹牙さんは、不機嫌オーラを醸し出しながらも承諾してくれた。
「冴妃さん、ごめんなさい」
「? 何がです?」
タクシーに乗ると開口一番に謝られた。今日は謝られてばかりいる。
「わたしのせいでタクシーに乗ることになっちゃったので・・・」
「大丈夫ですよ。幹部として姫を守るのは当たり前のことなので」
「そう、ですね・・・。あの、冴妃さん」
「はい」
返事をしてもあやなはなかなか続きを話そうとしなかった。
まぁその内話し始めるだろうと思い、しばらく夜景を眺めていたが、一向にその気配がない。
私の聞き間違いだったのかと不安になり視線をよこすと、あやなの目には涙が溢れんばかりに溜まっていた。
「わたし、豹牙さんに信用されてないんですかね・・・」
溶けてしまいそうなほど弱々しい声だった。
その言葉を皮切りに涙がポロポロと流れ出した。