伸ばそうとして引っ込めた手を見る限り、あやなも豹牙さんにお肉を焼いて差し上げたかったのだろう。
豹牙さんが好きだから。
でも自分から言い出せない時点で豹牙さんの視界には入れないことを、私は知っている。
だからってわざわざ教えるつもりはありませんけどね。
だって私は豹牙さんがこの世で一番大切だから。
無許可で豹牙さんの情報を流すなんてもってのほかだ。
ふと視線を感じて右隣を見ると、豹牙さんと目が合って次のお肉を催促された。
夕食を終え、行きと同様に豹牙さんからヘルメットを受け取った。
「あやな?どうされました?」
駐輪場に来てから何故かオロオロしている。
「えっと、みなさんバイクで帰られるんですか・・・?だったらわたしは、どうすれば・・・・・・」
その言葉を聞き、バッと裕次郎さんの方を振り返った。