そのことに関して豹牙さんは

「勝手にしろ。俺にはお前ら(=幹部)がいればいいし」

とどうでも良さそうに言い放った。


それほどまでに私たちを頼ってくれるのは嬉しいし言い方も可愛かったけど、
族を束ねる総長がそれでいいのかと抗議したくなった。


思い出しただけでため息がでる。

吐いた息はあっという間に溶けて消えていった。


悩みもそうやって消えてくれたら楽なんですけど・・・。


そんなことを考えながら、私たち【黎明】の人間が暮らす学生寮──榊館(さかきかん)の1階にある大広間にずらりと並び、ただ一人の帰りを待つ。


今日は週に一度行われる定期集会の日。


ストライキしていた構成員たちもしれっと参加している。


全く・・・お気楽なものだ。


コツ、コツ、とローファーが大理石の床を叩く音で全員に緊張が走った。