しかもヘルメットの大きさから、私のために買ってくれたのだと分かった。
「ありがとうございます」
まるで宝物でも扱うかのようにそれを胸に抱いた。
豹牙さんは呆れつつ、自身の後ろに座るように促した。
「しっかり掴まっとけよ」
「はい」
腰に抱きつくと豹牙さんの体温が少しだけ伝わってきた。
豹牙さんは基本的に体温が低い。
そのせいもあって、人形のように美しい顔がより際立つ。
更に頭脳明晰かつ喧嘩も強いため、本当に人間なのか疑う人もいるぐらいだ。
でも、耳を立てると心臓の音が聞こえると、私はちゃんと知っている。
最初は振り落とされないか怖くてしがみつくのに必死だったが、慣れてきたので豹牙さんの後ろから顔を出す。