この春の青空を連想させる水色は、自由の象徴そのものだから。
私にとって【黎明】は、唯一自由を謳える場所だから。
コンコンコン。
ノック音と共に聞こえた「冴妃」という呼びかけでハッと現実に引き戻された。
豹牙さんだ。
「はい」と返事し、恐る恐る扉を開けた。
これから何を言われるのだろうか。
さすがに【黎明】を追放されるわけがないが、幹部補佐に降格させられるかも。
私は他の幹部よりも喧嘩が弱い分、それ以外が特出していないと構成員たちに示しがつかないのに・・・。
「ほら」
俯く私に豹牙さんが一枚の紙を差し出した。
「なんです?これ。・・・・・・え?」
そこには修正された数学の順位が書かれていた。
首席にあるのは──私の名前。
そしてあやなの名前はどこにも載っていなかった。