そんな余韻に浸る間もなく、豹牙さんが言葉を続けた。
「それより数学のテスト見せてみろ」
「は?何故?」
「いいから」
「はい・・・」
リュックサックからファイルを出すところで拘束からは逃れたけれど、ここでまた逃走しても無駄なので大人しく数学のテストを渡した。
最後まで解くことの出来なかった不完全なものをあまりじーっと見ないで欲しい。
「これ、ちょっと借りていいか」
「え?ええ、どうぞ」
「それから、今日の夕飯は作らなくていい。とにかく何も食べずに部屋で待ってろ」
豹牙さんの言葉がずしりと重くのしかかった。