豹牙さんや裕次郎さん並みに任期はないにしろ、賢人もそこそこ人気がある。
赤色の短髪が男らしくてかっこいいだとかガッチリとした体躯が素敵とか・・・そんなことを言われてた気がする。よく分からないが。
それはそれとして、早速賢人の隣に座り勉強を教えようとしたところでガチャりと玄関扉の開く音がした。
「お前ら、こんなところでどうした」
「おかえりなさいませ豹牙さん。今賢人に勉強教えてって頼まれたところです」
状況を説明すると、豹牙さんは賢人を一瞥したあと私に耳打ちしてきた。
心地よい低音が鼓膜を揺らす。
「お前そんなに余裕あんの?賢人に勉強教えて、俺に飯作って」
「──あっ」
言われてみればやばいかもしれません・・・。
どうしたものかと考え込む私の肩を豹牙さんがぽん、と叩いた。