そんな私の考えを見透かした豹牙さんに口を塞いでいた手をどかされ、瞳を閉じた。

そして唇が触れそうになったとき。



ブーッブーッブーッブー



突然机上のスマートフォンの着信音が部屋中に鳴り響いた。

それはまだやるべきことが残っているだろう?と私に警告するかのように不穏な波を奏でた。


画面に表示された名前は「赤」。

これは【黎明】の後ろ盾である"彼"のことを指す。便宜上そう登録するよう指定されたのだ。


豹牙さんが据わった目で電話に出たところで、急に現実に戻されたような感じがした。


あぁ、そうだ。
私にはまだやるべきことがある。


【堕天】の消滅。


これを完遂しなければ、真の平和は得られない。