それどころか、なんで心配そうな目を・・・?

そんな疑問を感じ取った豹牙さんが、壊れ物でも触るかのように、私の頬に手を添えた。


「もしかしたら襲われるかもしれないだろ」


静かに発せられた言葉を一拍遅れて呑み込む。


「・・・返り討ちにすれば済む話では?」

「無理だな」

「えっ─────」


豹牙さんに肩を掴まれたかと思えばくらりと視界が反転し、気づいたときには組み敷かれていた。

両手首はひとつにまとめられたし、脚もほとんど動かせない。


「ほら、身動きとれないだろ」


そう言って驚く私を平然と見下ろす。

試しに拘束から抜け出そうと抵抗してみたが、全く歯が立たなかった。
豹牙さんは依然として涼しい顔をしている。

それを悔しく思ったが、てこでも使わない限り力勝負で勝てるわけがないので反抗をやめて身体の力を抜いた。