豹牙さんのお部屋は落ち着くから、すぐ眠くなる・・・───。





「───。─────き。」

眠りが浅くなったあたりで、意識の遠くから心地よい低音が耳を撫でた。

もっと聴きたいと耳をすませると、その音がより近くに聴こえた。


「冴妃、寝るならせめてブランケットくらい掛けろよ」

「んん・・・?ひょーがさん?なんで・・・・・・」


寝ぼけて無防備な声が口から零れ落ちる。

重たい瞼を微かに開けると、豹牙さんが頭をそっと撫でてくれた。

あぁこのまままた寝ちゃいそう──ってそれはダメだ。

危うく意識を手放しそうになったが、ガバッと起き上がって豹牙さんと向き合う。


「すみません。完全に寝ぼけてました」


豹牙さんはビーズクッションに身を任せたまま、何でお前が俺のここで寝てるんだと不可解そうに見てきた。


「興味本位で豹牙さんのクッションに座ってみたら意外と居心地がよくてつい寝てしまいました。ごめんなさい・・・」


そう言っているうちに、もしかしたら自分がとんでもないことをやらかしたんじゃないかという不安に駆られ、とてもじゃないが豹牙さんの目が見られなくなった。