だが誰も成功したことがない。


だって豹牙さんは女嫌いだから。


それも目障りだから寄りつかせないようにしろと私に指示するぐらい。
とっっても大変でめんどくさかったのでちょっと根に持っている。


そう、豹牙さんは大の女嫌い。

だから昨日の発言には大変驚かされたのだ。

その衝撃から抜け出せず、今だって脳裏の片隅で自動再生されている・・・──。





「今日からお前が俺の姫だ、冴妃」

「は?ご冗談を」


豹牙さんの意図の読めない発言に対し、頭で理解するよりも早く、言葉が口を衝いて出た。

そうしないと夜空に呑み込まれてしまいそうだったから。



「疲れてるんですね。今日は早くお休みになってください。私もこれで失礼します」



冷静を装いながら豹牙さんの拘束から逃れ、スタスタとドアまで歩く。