夏の勉強合宿の夜に豹牙さんとお会いしたときに香菜子ちゃんの追放を取り消すよう冴妃さんを説得してほしいってお願いしたら言われた、あの言葉・・・。

あと、他にも・・・・・・。


──冴妃の行動に干渉する権利なんて誰にもない。あんまり調子に乗るなよ。


豹牙さんのあの冷酷な眼差しを思い出して、胸がズキリと傷んだ。

そんなにわたしの心情を知らない賢人さんはさらに追い打ちをかけてきた。


「お前がどうこう以前に、いざってときに幹部からの命令より自身の感情を優先したヤツらなんか追放されて当たり前だろ」


吐き捨てるようにそう言われた。
その瞳には冴妃さんへの想いが宿っている。わたしには分かる。

だって賢人さんも敵わない恋をしているわたしの仲間だから。


「け、賢人さんだって冴妃さんのことが好きなんじゃないんですか・・・!?」


気づけばそう口にしていた。


「なのになんで、なんで二人を応援できるんですか・・・?」


心の底から湧いた疑問。

ずっと、ずっと分からなかった。