「もうお前らは必要ない。【黎明】から消えろ」


豹牙さんの冷たい声が頭の中を反芻する。

【黎明】から消えるって・・・?どういうこと?なんで、なんで・・・?

わたしはただ、みんなことが心配だっただけなのに。
冴妃さんに怪我させようって思ってやったんじゃないのに。

みんなのためを思って行動しちゃいけないの・・・?

わたしはみんなの姫なんじゃないの・・・・・・?

はてなマークはたくさん浮かぶのに、口が上手く動いてくれなくてもどかしい。

そんな風に思っていたら、豹牙さんと冴妃さんがこちらに背を向け帰っていく光景が全てスローモーションのように見えた。


「さ、冴妃さん・・・」


咄嗟に伸ばした手が悠然と前に向いて歩く二人に届くわけがなかった。

ほんとうに終わっちゃったの・・・?

実感が湧かなくてただただ呆然とする。
そんなわたしを賢人さんはなんの感情もこもっていない目で見下ろした。こ、怖い。