そうは言ってもできることならコイツを下して戦力を削りたいのが本音。

左拳を腕ごと強めに弾き、がら空きの顎下に一撃を入れようとした、そのとき。



「さっ冴妃さん・・・!!」



この場に似合わない可愛らしい声が聞こえた。


────は?あやな?


「隙ありぃ!」

「っっ」


一瞬ガードが疎かになり、みぞおちに重い蹴りをくらった。

胃液が込み上げてきたがそれを無理やり飲み込む。


────堂本大弥は?


すぐに立て直したが堂本大弥が視界から消えた。

そうかターゲットが変わったんだ。

この場で一番弱い存在。



「っあやな!!!」



堂本大弥の攻撃が届く寸前、あやなに飛びつき回避した。

下敷きになった右半身が酷く痛む。