「分かりましたすぐに向かいます」


私も短く返し、「冴妃さんこっちです!!」と道案内する彼らの後に続いた。

そして振り向きざまにあやなとその囲いに指示する。


「あやなは寮で待機!3人はあやなを寮まで送り届けて残りの奴らは私についてこい!」

「っはい!!」


素早く反応した2人が追い掛けてくるのが足音で分かった。

一瞬視界に写ったあやなはまだ状況がよく分かっていないようだったけれど、気にしている場合ではない。

とにかく今は急がないと。






「ここです!!!」

抗争が起きていたのは学園近くの廃工場だった。きっと近隣住民に被害が及ばないよう豹牙さんたちが誘導したのだろう。

その豹牙さんは【堕天】の幹部二人に張り付かれており、賢人は幹部補佐たちに周りを固められていた。


他はどうなっているのか確認しようとしたとき──拳が飛んできた。

それを寸前で躱す。



「ひっさしぶりだなぁクソ猫!!」



水を得た魚のような笑みを浮かべた男を見て舌打ちしそうになった。