「あれは喧嘩ではありませんし、前々から追放することは決定していました」

「な、なんで・・・」


ポケットからスマートフォンを取り出し、あやなに天乃結愛の小説のデータを送信した。


「これを読めばよくお分かりになるかと」


逆に読んだ上で納得できないと言うなら、今後あやなと私たちが分かり合えることはないだろう。

私としてはどちらでもいいのでさっさと帰ろうとした。


「あぁ、そうそう」


でもあのことは言っておこうと思い立ち止まった。

振り向きざまに告げる。



「私、豹牙さんのことが好きって自覚しました」



するとあやなは今日一番の絶望した表情を浮かべた。その瞳は心とともに揺れている。


「え・・・?じゃ、じゃあもう豹牙さんに近づくな・・・ってことですか?」