「その代わり担いでやるからこれでガマンな」

「・・・・・・」


そう言ってから担いで欲しかったというのはワガママでしょうか。

でも賢人は私が落ちないようにがっしりと支えてくれている。そのことに安堵し、ぐったりと体重をかけた。


「賢人」

「何」

「・・・ありがとうございます」

「・・・・・・」


賢人はなんてことないように「部屋でいいか?」とだけ訊いてきたのでこくりと頷いた。

とにかく今は、何も考えたくない。





・・・眠れなかった。

眠って全部なかったことになればいいのにとからしくもないことを考えていたら本当に眠れなかった。

ようやく睡魔が襲ってきたかと思えばあの光景がフラッシュバックして余計目が冴えてしまう始末。

そうこうしている内に夜が明け朝日が昇ってしまった。

もう起きなきゃと思うのに、金縛りにあったかのように身体が全く動かない。
というかそもそ動かす気力すら湧かないのだ。