暴走族の男女比が男に傾くのは必然だから、そこで気分が左右されるわけがないだろう。

姫扱いされたこともなければ部下に慰められたこともないですし。

ただ、世間は紅一点と言うだけで嫌悪感を示すらしい。

私が幹部でいることはそんなに変なこと・・・?

その感覚が分からない。まぁ元々ズレているので考えたところで無駄か。

私のズレて歪んだ感覚を理解してくれるのは幹部たちぐらいだ。

豹牙さんは理解とは少し違う。

豹牙さんは私と同じ・・・───え?


思考と足が同時に止まった。
だって今、豹牙さんの声が聞こえたから。

それだけじゃない。

この声は、あやな・・・?

何だか胸騒ぎがして、声をする方向へと転換した。

何故ふたりが一緒にいるのだろう。

密会?
いや、ふたりはそこまで親しくない。

たまたま会ったのか?
その可能性が一番高いがどうも釈然としない。