香菜子は負けじと食い下がる。



「だっ、だってそうじゃないとおかしいじゃないですか!裕次郎さんは医療面でご活躍されてますし浬さんはコミュニケーション能力、賢人さんはフィジカルが優れています!他の幹部の方々はそれぞれ得意なことがおありなのに、それなのに、冴妃さんだけ何をしているのか、何に優れているのか誰も教えてくれなかったんです!ただ総長の隣にいるとだけ!」


一気にまくしたてた香菜子は息が切れてしまったらしく、はぁ・・・はぁ・・・と肩で息をした。

これだけの文量をスラスラ言えるということは、普段から私に対し相当不満を持っていたようだ。

ここで勉強面で優れていると言っても意味ないんだろうな。あくまでどれだけ【黎明】に貢献しているのかの話をしているから。

そういえば香菜子もあやなと同じ、高校からの編入組か。

道理で知らないわけだ。

私が何をしているのか。
そしてそれが秘匿されている事実を。

知っているのは古株の構成員たちと私の直属の部下だけ。重要度の大きさからそうするよう豹牙さんに命令されたのだ。