だって豹牙さんと私が同意の上でしたことだから。
世間からすればズレていようと、私たちが良ければそれでいい。
当事者は私たちだ。他人が口に挟むべきではない。
それに裕次郎さんや浬のように、付き合ってなくとも平気でキスする人種も一定数いるし、香菜子の───
「・・・やっぱり、そういうことでしたか。冴妃さんは女なのに、他の人を差し置いて幹部なんておかしいと思ってたんです」
「かっ、香菜子ちゃん・・・?」
ここであやなの後ろに控えていた香菜子が私の目の前に立った。あやなも周囲も困惑している。
香菜子は意を決した様な顔で私を見上げた。
「そうやって総長を誘惑して幹部になったんですね・・・!?」
「もしそれが事実なら豹牙さんは女の誘惑に負けて幹部の地位を与えた間抜けな総長になってしまいますね」
間髪入れずにそう返すと、香菜子は分かりやすく顔を歪めた。ようやく本性のお出ましか。
さっきから妙だと思ってたんだ。なんせ構成員たちがあやなを心配する中、香菜子だけが私に敵対心を向けていたのだから。