「・・・それが何だと言うんです?」
「えっ?」
そう平然と言ってのけると、あやなは虚をつかれた様な顔をした。
「あなたの言う通り、昨日豹牙さんとキスしました。ですがそれだけです。付き合ってはいません」
「そ、そんな、付き合ってもないのにキスするなんて間違ってます!ふ、普通じゃない・・・!!」
『普通じゃない』・・・ですか。
「それを私たちに言うんですか?」
「っ!?」
暴走族【黎明】の総長とその幹部。
そんな肩書きをもつ時点で私たちが普通の枠組みに収まるはずがない。
だから『普通じゃない』と非難されても、今さらそれがなんだとしか思わないし、当然間違っているとも思わない。