「・・・・・・。そうですか。では姫のいるところまで案内お願いします」

「は、はいっ!」


脳内でははてなマークしか浮かんでいないが、それを彼女らに言ったところで意味がない。

まずは迅速に状況を把握しよう。疑問をぶつけるのはその後だ。






私が「あやな」と呼び掛けると、彼女はまるで虎を前にした兎のように怯えながら振り返った。

まだ平坦な声で名前を呼んだだけだが、一瞬にして『これから幹部に怒られる姫』という悲劇のヒロインのようなレッテルが貼られた。

そして私は悪役ですか・・・。デジャブだな。

私が来る前にあやなと話していた連中は、私の登場とともに距離をとり傍観している。

あちこちからあやなを心配する空気がひしひしと伝わってくるが、それよりも気になるのはあやなの後ろに控えている香菜子だ。
・・・まぁ今は気にしなくていいか。

あやなを視界に捉え、疑問を口にする。