この感情をなんて言うのか。

その答えに辿り着いたとき、海面からすくい上げられたような気がした。


「・・・そうは言っても、まだ完全に感受性が死んだわけじゃなかったみたいてす」

「へぇ」


じゃあ何を綺麗に思うんだ、と興味深そうに流し目を送ってきた。

その顔を覗き込む。



「豹牙さんのことはずっと綺麗って思ってます」

「・・・・・・は?」



「本当ですよ」と念を押すと、今度は豹牙さんが私の顔を覗き込んできた。

鼻先が当たりそうな距離に思わず息を呑む。

私の動揺を見透かすかのように、豹牙さんが告げる。



「綺麗なのはお前だろ」

「っ、え?」



一拍遅れて言葉の意味を理解する。

綺麗?・・・私が?
豹牙さんを差し置いて?

有り得ない現実から逃れるように顔を背けた。