両親が許した領域でしか物事を見聞きできなかった私にとって、それは革命だった。
豹牙さんは私が女だから教えない、子どもだから知らなくていいなんてことは言わず、たくさんの知識を授けてくれる。
それこそ大人が聞いたら眉をひそめそうなお金の話も赤裸々に。
私が一人で生きる術を身につけれたのもそのおかげだ。
豹牙さんにはほんと、感謝してもしきれない。
そのご恩に報いるためにも真剣にパソコンと向き合った。
最終的に私はB案の方がいいと判断した。
それについて何故そう結論付けたのかを訊かれた後、これを実行するためには何が必要かなどの話し合いをし、ここで私の役割は終わった。
そして豹牙さんは部下と連絡を取り最終決定を下す間に、私は海から帰ってきた浬らと夕食を作り終え、豹牙さんを呼びに部屋を訪れた。
「お疲れ様です、豹牙さん。夕食できましたよ」
豹牙さんは「あぁ」と返しながらパタンとパソコンを閉じ、気だるそうに首の骨を鳴らした。