あやなは本当に気づいておらず、香菜子はあやなに近づかないでと牽制しているみたいだ。

他にも女の子はいるというのに、男連中はあやなにご執心。

その理由は何となく分かる。


あやなにも豹牙さんと同じようなカリスマ性があるから。

私にはない、生まれもった素質が。


そんな私の思考をぶった斬るように後ろから声が掛かった。


「冴妃、行くぞ」

「はい」


豹牙さんに手招きされ、その後を追う。


「お前ら本当に泳がねーの?」

「仕事だ」

「後処理が面倒なので」


すれ違い際に浬の疑問に答え、海に背を向けた。

後方からは構成員たちの騒ぐ声が聞こえる。

こんなに暑いのに何故あんなに元気なのか。
と、ハンディファン片手に首を傾げる。

コテージまで歩きながら考えた末、そもそも私は海で泳ぐのが好きではないのでその時点で分かり合えないかと結論付けた。