「え、豹牙!?いつの間に・・・ってか今のは誤解で!」


この期に及んで言い訳をする浬に豹牙さんが詰め寄る。


「お前の口が軽いのは事実だろ」

「あああああ痛い痛い痛い」

「豹牙さん」


豹牙さんに頭を掴まれ悶絶する浬を無視して声を掛けると、視線だけがこちらに向けられた。

ついでに浬も手放される。


「浬の言ったことは本当ですか?」

「ああ」


肯、定された・・・。
じゃあ、つまり───。

あの家に帰らなくていいんだ。両親に縛られなくてもいいんだ。

私らしく、過ごしてもいいんだ。


そう自覚したら溢れんばかりの解放感と安堵感に全身を満たされた。

嬉しくて、気が緩めば泣いてしまいそうだ。



「ありがとう、ございます。貴方のおかげで初めて夏休みが楽しみになりました・・・!」

「そうか。良かったな」



精一杯の感謝を紡ぐと、豹牙さんは口角を上げて頭を撫でてくださった。