非があるのも謝っているのもあやなだが、その怯えようから「そこまで怒らなくていいんじゃないか」と同情の声が集まり、
更に事情を知れば「そんなことであんなに謝らせるなんて」と私へ非難の声が上がるだろう。
人はあやなのように弱くて可愛らしい子に庇護欲を抱くから。
私は謝罪を強要した覚えもなければ、そもそも怒ってすらいないのに。
私は私の行動が原因で悪評が広まるのは構わないが、他人の行動が原因でそうなるのは気に食わない。
だから敢えてこのような言い回しをしたのだ。
あやなはゆるゆると首を振り、涙を浮かべた瞳に私を映した。
「い、いえ、私が勝手に思い上がってただけなんで、皆は悪くないんです・・・!これからは気をつけます!」
否定。やはり後者か。
「そうですか。頑張ってくださいね」
さて、どう収拾をつけようか。そう逡巡する前に、裕次郎さんが会話に入ってきた。
「あーそうそう姫ちゃん。この後良かったら俺らと飯どう?」
「え、ご飯ですか・・・?」