構成員たちがやけに大人しいと思っていたが、お腹も心も満たされてるからか。なるほど。



「・・・全然残ってませんね」

「あー食べ物?ちゃ〜んと俺らの分は別に取ってあるから安心して。どうせ会場じゃろくに食べる気起きないでしょ。冴妃も豹牙も」

「そうですね」



私たちは人がたくさんいる場での食事を好まない。

私は食べるのが遅いから、豹牙さんはそもそも人が好きじゃないから。



「つーかその上着・・・」



歯切れ悪そうに賢人に言われて、視線を肩を落とした。



「あぁ、豹牙さんが羽織っとけって言うんで仕方なく」

「へ〜?ふ〜ん、そぉ〜」

「ニヤニヤして何なんですか裕次郎さん。喉乾いたんで飲みもの取ってきますね」

「え、わざわざ動かなくていいでしょ」

「は?」

「え?」



疑問符を浮かべる賢人と私を他所に、裕次郎さんが振り返って声をあげた。