扉が閉められたタイミングで豹牙さんのそばに寄るよう促された。
「まずはお疲れ」
「ありがとうございます」
豹牙さんの骨ばった手が私の頭をわしゃわしゃと撫でる。
決して丁寧ではないけれど雑でもない、程よい力加減。
豹牙さんに撫でてもらえると心がぽわぽわする。
私はこの時間がとても好きだ。
一週間の疲れが吹き飛ぶし、今週もまた頑張ろうと思えるから。
ちょっと前まで私と賢人はよくこうやって労ってもらっていたのだが、反抗期を迎えた賢人が「もうそんなことされる歳じゃねーんで」とか言って遠慮するようになったので、今では私だけの特権になっている。
ただの反抗期でこの憩いの時間を逃すなんて賢人ももったいないことしてますね・・・。
豹牙さんに撫でてもらえるのは幹部かつ年下枠の私たちだけだというのに。