何故なら既に頭の全体重を豹牙さんの手に預けていたから。
「っすみません」
心地良さのあまり、もっともっと求めるうちに体重をかけていったのだろう。
恥ずかしさを誤魔化すように急いで退いて目をギュッと閉じた。
そしてこのまま、また撫でてもらえると思った。
でもいつまで経っても撫でられることはなく目を開けそうになったとき、豹牙さんが近づく気配とともに───唇を重ねられた。
一拍遅れて軽いリップ音が耳に届く。
「・・・!? 豹牙さん・・・!?」
「どうした」
「『どうした』じゃないですよ。何でいきなり、その・・・・・・」
今、されたばかりだろうか。キスという単語を口にするのが気恥ずかしい。
そんな私を見かねた豹牙さんが先に答えを言う。
「理由はもう知ってるだろ」
──お前が可愛いから。
「っ、」
あの日と同じ、私を求めるような目。