まぁ本当に微々たるものだが。
「冴妃、ちょっと来い」
「はい」
豹牙さんに言われるがまま豹牙さんの私室に入りドアを閉めた途端、両手首を掴まれドアに縫いとめられた。
「どういうことか説明しろ」
他の人からは豹牙さんが起こっているようにしか見えないだろうが、私の目には困惑と焦りも同時に映った。
何か良くない誤解をされている。早く何か言わないと。
「賢人にキスするフリをしてもらってました」
焦るあまりに発した言葉の選択を間違えてしまったらしく、豹牙さんが更に詰め寄ってきた。
「どうしてそんなことをした」
「豹牙さんが、私にキスしたからです」
「答えになってないだろ」
「・・・・・・」
そう言われても本当のことを話すのは恥ずかしい。