これが普通のリアクションなんでしょうね。やっぱりあの2人はどこかイカれてる。

賢人は考える素振りを見せたあと、あっさり答えを出した。


「ま、フリならいいか」


意外と軽い。


賢人がそっと私の頬に手を当てる。

その触れ方はあまりにもぎこちなく、女慣れしていないことを如実に表していた。

賢人が目を細めながら顔を近づけてきたとき──リビングの扉が開かれた。



「何やってんだ?」

「豹牙さん・・・」



扉の前で佇む豹牙さんを視界に捉えたとき、「おかえりなさい」という言葉すら失った。

豹牙さんの目には明らかに怒気が含まれていたから。

自分の一挙手一投足が命取りになりかねないと本能的に察した。



「質問に答えられないほどやましいことでもあるのか」

「ありません」



即答すると豹牙さんの雰囲気がいくらか緩んだ。