いきなりだったとはいえ、私なら拒絶しようと思えばできていたのにしなかったということは、あの瞬間、私は豹牙さんを受け入れたからか・・・───。


自覚した途端、頬が燃えるように熱を帯びた。



「俺これから塾だから行くわ。彼女に慰めてもらお〜〜」



そんな私に目もくれずのろのろと立ち上がった裕次郎さんは、テキトーに床に置いてあったリュックを片手に覚束ない足取りで玄関に向かった。

妹分にキスするフリしたら頭突きされた彼氏って嫌だなぁ・・・。


その後浬に「一応俺でも試してみる?」と提案されたが「遠慮しときます」と即断った。





ソファに身を預けながら、天井を仰ぐ。

浬は裕次郎さんが出て行ったあと「俺もこの前ナンパしたおねえーさんと約束あるから」とか言って出かけたし、豹牙さんも賢人もまだ帰宅してないので正真正銘一人きり。

そんな中、先程の一連の流れを思い返す。