豹牙さんに気取られて全く気づかなかった。



「今日から"お前らの"姫になる奴だ」



────はい?今なんて?



困惑する私をよそに、豹牙さんに人差し指で手招きされた姫がビクビクと怯えながら、玉座の隣に立った。


そこに立てるのは豹牙さんか私たち幹部だけ。


豹牙さんが微かに眉を顰める。
・・・まぁそれに気づいたのは極少数でしょうが。


姫として紹介された女子生徒はおどおどしながらも、野暮ったい眼鏡を外し三つ編みをほどいた。

さらっと髪が宙を舞う。



「たっ、(たまき)あやなと言います!」



小動物のような可愛らしい声だった。



「これから姫としてどうかよろしくお願いします・・・!」



環あやなが頭を下げた途端、おぉぉぉおおと野太い歓声が沸いた。